経済安全保障の基礎知識(第3回)
経済安全保障の基礎知識(第2回)では、なぜ各国が経済安全保障に力をいれるようになったのか、その背景について説明した。3回目の今回は、日本における経済安全保障の基本的枠組みについてお話ししたい。
インテリジェンス基礎理論(第3回)
情報活動は、思いつくままに情報を集め、分析する活動ではない。一般に、情報要求→収集→処理→分析・作成→配布→意思決定という一連の流れによって行われる。これを「インテリジェンス・サイクル」という。
まず、意思決定者が「何を知る必要があるのか」という情報要求を示す。それに基づいて必要な情報を収集し、分類・整理などの処理を行い、分析してインテリジェンスを作成する。それを意思決定者へ提供し、政策や経営判断に役立てる。そして、情勢の変化や意思決定によって新たに知るべきことが生じれば、次の情報要求が出される。
ここで重要なのは、サイクルの出発点となる情報要求である。何を知りたいのかが曖昧であれば、どれほど大量の情報を集めても、意思決定に役立つインテリジェンスにはならない。
第2回 企業インテリジェンス(インテリジェンス・サイクルの企業実装)
テレビや新聞、インターネットで日々流れるニュースも、扱い方しだいでインテリジェンスへと転じる。たとえば2021年3月、大型のコンテナ船がスエズ運河で座礁し、1週間近くにわたって航路を塞いだ出来事があった。多くの視聴者にとっては数あるニュースの一つでしかない。だが、その運河を物流の動脈とする企業にとっては話が別だ。自社の調達や納期にどんな打撃が及ぶのかを、インテリジェンス部門は直ちに読み解かねばならない。その分析から、いま何をすべきかという「示唆」と「打ち手」が立ち上がる。経営者が判断を下せる水準まで練り上げられたとき、一つのニュースはインテリジェンスへと昇華する。




